君の声、僕の歌姫

魔物は自分の懐に入ったキルシュを倒そうと自ら生えた枝を伸ばします。

ラウトは危ない、と思ったのか思わず目を覆いました。

しかしキルシュは不敵な笑みを浮かべながら、


「遅い遅いっ」


そう言って腹部と思わしき場所に蹴りをお見舞しました。

一方の中々動かないハルトも短冊のような紙を取り出すと、

目の前の敵にそれを当て、何時もよりも低いトーンで呟きます。


「爆(は)ぜろ」


紙を当てられた場所が轟音を立てて、ハルトの言うとおりに爆発しました。

それを見たラウトはハルトも魔法使いなのかと疑いました。