君の声、僕の歌姫

キルシュがそう言うと、2人は先ほどのお面を被りました。


「えっと、その……」
「ったく分からないの!? このお面はあたし達の町での……」
「キルシュ、来るよ。気を付けて」


その言葉とほぼ同時にキルシュは咄嗟に状況を判断したのか、

まずはラウトを抱えて安全な場所へと避難させました。

一瞬の事で分からなかったのですが、

少なくとも自分を軽々と抱えたという時点で、

キルシュは見た目以上に腕力はあると言う事だけは分かりました。


「それじゃ、行きますか!」


兎のような跳躍でキルシュは敵の懐まで跳びました。