君の声、僕の歌姫

「それぞれの両親が仲が悪かったと言うのもあったんだけどねえ……」


その時の事を思い出したキルシュは大きな溜息を吐きました。

ラウトは大変だったなあ、と思いながらもまさかと思った理由を口にしました。


「まさか駆け落ちで逃亡中とか?」
「それだったら何でイフェルが絡んでくるのよ」
「でも半分当たりかも……駆け落ちとはちょっと違うけど」


ラウトは驚きましたが、それにお構いなくハルトは話を続けました。


「条件を提示された訳だよ……最強の敵を2人で倒せたら結婚を許すって」


それぞれの両親はこう考えたのです。

最強の敵と戦わせることで、ハルトが強くなりキルシュを守れるような男になり、

キルシュはそんなハルトに付いて行く、一途でしおらしい良妻になると。