君の声、僕の歌姫

理由もなくただ自分について行くと言う事に、ラウトは納得がいかなかったのです。

自分にはちゃんとした目的があると言うのに、

彼らにはその目的があるのかどうかも分かりません。


「駄目?」
「遊びじゃないんだぞ!?」
「分かっている。でも僕達にだって理由があるんだ」


すると珍しく今度はハルトが全てを話しだしました。

キルシュとハルトは同じ町で育ち、気付いた時には恋人関係になっていたそうです。

そもそもハルトはその気がなかったのですが、キルシュの猛アタックにより今に至る、と。


「懐かしい思い出ねえ……振り向かせるの大変だったんだから!」
「馴れ初めは良いから続きを聞かせろ」