君の声、僕の歌姫

「ほったらかしにして悪かったよ。それから、ごめん。俺、暫く家留守にするよ」
「まさか……ラウト、貴方……」
「犯人が分かったから、スティーの声を取り戻しに行って来る」

姉であるローゼと、幼馴染であるスティーは驚きました。

残る男達はそれが当たり前だと言わんばかりの表情をしました。

スティーは慌てて字を書いて、ラウトに見せます。


『ダメ! そんな事したら、ラウトが死んじゃうかもしれないんだよ?』
「スティーの声の方が、今此処にいる人間にとっては大切なんだ。俺は大した事ない」


今にも泣きそうなスティーの頭を優しく撫でながら、ラウトは微笑みながら言います。

するとローゼが怒鳴り出しました。その声はやや涙声でした。