君の声、僕の歌姫

こう言う人の事をお母さんって言うのかな……とラウトは思いました。

何から何まで自分の為にしてくれるなんて、家族でなければ出来ません。

とはいえフェネルは男か女かさえも分からないので、

お母さんと言う表現が正しいのかそうでないのかは分かりません。


「最後に忠告しよう。その力、無駄にするならばその魔力はお前の命を奪う。
ちゃんとスティーの声を持って帰らなければお前は死ぬって事だ」
「分かった……何から何まで有難うな。ちゃんとこの力も返すから」


ラウトが外へ出ようと扉を半分開けた時、フェネルをからかうかのように、


「お前の本当の姿ってそっちじゃなくて? 何か生き生きしているから。
だからあのジジイだかババアだか分からん声は本当の姿じゃない!」


フェネルは戸惑いと照れを隠せませんでした。

その様子を確かめたラウトはにやりと笑ってその場を去りました。