君の声、僕の歌姫

ラウトは真先に思い浮かんだ物を強く想像しました。

すると右掌が熱くなって来たではありませんか。

その熱さを何処にぶつけようと考え、とりあえず天井に手を向けました。


「いっけぇー!!」


ラウトの手からは大きな炎の弾が発射されました。

弾は天井を貫いて、天高く遠くへ飛んで行きました。

穴のあいた天井からは微かに外の光が降り注ぎました。


「最初にしては珍しいな。あの大きさの弾を出すとは。
まあ天井を壊したのはいただけないが、珍しい物を見せてもらったから良しとしよう」


天井を見上げたフェネルは、家を壊された複雑な気分もありましたが、感心します。

一方のラウトは自分のした事を未だに理解出来ていませんでした。