君の声、僕の歌姫

「話はそれだけか? とっとと力を授けるぞ。目を閉じろ」


ラウトは言われるがままに目を閉じました。

すると今までの空気とは違う空気がラウトを包みます。

フェネルが呪文のような物を唱え出しました。

瞬間、真っ暗になった視界が一瞬だけ明るくなったと思えば、

同時にチリッと胸が小さく痛みました。


「もう良いぞ。目を開けろ」


ラウトが目を開けると……何の変化もありませんでした。


「おいっ! 本当に……」
「やった。嘘だと思うのならば、何か攻撃出来るような物を想像しろ」


フェネルが何の変化もない事に怒るラウトに冷静に言いました。