君の声、僕の歌姫

ラウトは変な想像をしてしまいました。

この悪魔のようなと言われていた魔法使いの召使。

ただの雑用だけでは済まされないと思ったのです。


「何、怯えるような事ではない。ただ蛙を捕まえて来たり、
前に作った薬が今の人間でも通用するか確かめるだけだ」
「蛙は別に良いけど……実験台じゃん、召使じゃないじゃん!」


やはりラウトの想像した通りの事だったのでしょう。ラウトは余計に怯えました。


「まあ1番召使としてやって欲しい事は……その、なんだ。ワタシの暇潰しの相手だ」


この場では初めて見せるフェネルの照れた表情。

それを見たラウトは、理解しました。フェネルはずっと寂しかったのだと。