君の声、僕の歌姫

本当はすぐにでも向いたい筈でしょう。

ラウトはその気持ちを抑え込んでいました。


「イフェルは残酷だ。目的の為なら、多くの犠牲も気にはしない。
お前なんて手を振るえば焼き払うくらいの力だってある。それでもか?」


フェネルの脅しも通じず、ラウトの決意は揺るぎません。

スティーは命の次に大切な声を、ラウトの為に犠牲にしました。

彼女に助けてもらった命です。今度はスティーの“命”を助ける番なのです。


「俺はスティーを助ける義務がある。
スティーが笑って歌うなら、彼女が悲しい顔をしないで済むのならば。
俺は何を失ったって平気だよ。イフェルがなんだってんだよ!」