君の声、僕の歌姫

「ちなみにワタシはフェネルという名前だ」


いきなり自己紹介をされてもな、と思うラウトがそこにはいました。

しかしフェネルと名乗った魔法使いは、すぐに本題へ変えました。


「まあ、ワタシの名前は良いとしても、だ。ラウト。
イフェルの元へ向かうつもりだろう?」
「当たり前だろ!?　聞いておいて行かないって何処のバカだよ。
俺はスティーの声を取り戻したいんだ!　その為なら何だって……」
「“何だって出来る”か?」


言いたい事を先に言われてしまったラウトは、やや戸惑いながらも返事をしました。

ラウトはイフェルの元へ向かうつもりでいました。