「少しは楽しませてくれよ、我が息子よ」


イフェルはラウトと同じように炎の球を繰り出しました。

が、その球の大きさはラウトの出す物よりも遥かに大きく、

ラウト全体を包むかのような物でした。部屋全体を明るく照らし、

イフェルからその球が離れラウトとぶつかったであろう瞬間、

轟音と共にまた元の薄暗い闇が戻りました。


「ラウトっ!」


フェネルとフェアギスの顔色が青くなりました。

パラリと響くひび割れた壁の欠片。砂煙が霧のように漂います。

その砂煙も晴れた頃、壁のひび割れが酷い部分を見やれば、

そこにいるはずであろうラウトの姿はありませんでした。