君の声、僕の歌姫

「ではこうしようじゃないか。お前の命を差し出せば、あの娘の声を返してやろう」


イフェルはそう言いました。その言葉にラウトは一瞬戸惑いました。

しかしそれでスティーの声が戻るのならば、とその条件を呑もうと決めました。

元々スティーは自分の命を救う為に差し出した声です。

スティーが差し出さなければ自分は死んでいたのです。理由はそれだけで十分でした。

ラウトの様子を見て、条件を呑む気だと察したフェネルは必死になって言いました。


「ラウト、分かっているのか? スティーの声が戻っても、お前がいなきゃ歌えないままだ」


するとフェネルはラウトが腰に付けていた萌黄色の巾着袋を奪い、

その紐を解きました。すると巾着袋からは…………