君の声、僕の歌姫

ラウトは階段まで登るのが億劫に感じたのか、俯き小さく何かを念じ始めました。


『ラウト、ワタシはそのような使い方を教えた事は……』


その行動にはフェネルも驚いた様子でした。

フェネルの言葉の次の瞬間には、人間とは思えぬ脚力で最上階までひとっ飛びしました。

それは同じように跳躍力のあるキルシュには到底無理な高さでした。


『何処かしらの強化なんて教えた覚えはないぞ……一体どうやって……』


フェネルは未だにその理由が掴めぬままでした。

が、当のラウトはその時閉まっていた窓を剣で勢いよく叩き割りました。

その派手なガラス音は漸く古城に辿り着いた、遥か下にいる3人にも届いていました。

3人も何故ラウトがあんな場所にいるのかと、不思議がりました。