君の声、僕の歌姫

ラウトはその言葉を聞いて魔法使いに反論しました。


「嘘だっ! 威圧感のある性別不詳はお前しかいない!」


たったそれだけの根拠でした。魔法使いはその言葉に大笑いしました。

ラウトはその大笑いに怒りを覚えました。


「何がおかしいんだ!? そうだろ、お前しかいないだろ!?」
「悪いがワタシは何も知らないな。知らないから他に答える事もないな」


笑う事をやめ、そう答える魔法使い。

ラウトは魔法使いが嘘を吐いているのではないかと疑いました。

が、魔法使いの瞳に歪んだような物を感じる事は出来ませんでした。

ラウトは心当たりを失い、スティーの声を奪った事への罪悪感でいっぱいでした。