君の声、僕の歌姫

「これでもまだイフェルの所へ行こうって言うなら止めないわよ?」


からかうようにフェアギスは言いますが、

ラウトとキルシュは気持ち悪さで一杯一杯でした。


「もう決まった事は覆せない。だから今日は行かないから安心すれば良い」


2人を慰めるかのようにハルトが言います。付け加えて“フェアギスも鬼じゃないよ、きっと”と。


「そのあやふやな表現もうやめ……うっ」


ラウトは少し遠く離れた場所で戻してしまいました。


(あーあ、今日取り戻すって決めたのにな……畜生)


ハルトに背中をさすられながら、ラウトは落胆しました。