君の声、僕の歌姫

「本っ当に速いわねえ……ヴァサーもマイグも」


フェアギスは彼らから降りながら、ヴァサーとマイグ……

恐らくこの狼の魔物達の名前でしょう。その2頭を褒め称えていました。

ラウトの顔色は真っ青でした。その速さはラウトにとっては未知なる世界だったのです。


「お前ら……平気なのかよ」


もう1頭の方に乗っていたキルシュとハルトに、ラウトは吐き気を堪えて言いました。

するとキルシュはラウト程ではないですが、少し酔ったとの事。

ハルトに至っては何と全く平気でした。


「あーら? すぐにでも行くと意気込んでいたお2人さん? 顔色悪いわよ?」


“早く着いたのは良いけれど、お前の所為だ”とラウトは言えませんでした。