君の声、僕の歌姫

「でもっ……! 俺には時間が……」
「大丈夫よ。まだリミットは沢山あるって考えなさい?」


フェアギスはフェネルからリミットの事を聞いていました。

だからこそ今焦るラウトを止める事に必死でした。


『ったく昨日は格好良いと思ったワタシが阿呆だった……』


フェネルの苦笑が目に浮かぶようでした。

その言葉にキルシュは勿論ラウトも納得し、一行は集落へ向かう事となりました。

が、出発しようとした時になりフェアギスが“待って”と言いました。


「集落までの道のりも、案外道なき道なのよ? ちょっと待っていなさいな」


するとフェアギスは持っていた鞭を3度地面に叩きつけ、口笛を吹きました。