『本当にお前はバカでどうしようもない奴だな……』
「はあ!? 何だそれ。俺に喧嘩でも売っているのかよ?」
『いいや。ただ逞しい奴だと思っただけだよ』


微かにフェネルの笑い声が漏れました。

きっと笑っているのでしょう。それを確かめる術がないのが残念だと、ラウトは思いました。


「お前、笑っているだろ? 初めて聞いたよ。そんな声」
『わ、ワタシは断じて……』
「良いよ、無理なんてしないでさ」
『…………ちょっとは成長したようだな』


ラウトもフェネルも恐らくは、この会話を楽しんでいるようでした。

決戦は明日。ラウトはすっと剣を取り出し、真っ直ぐに伸ばしました。


「待ってろよ!! 必ず取り戻して見せるから!」