君の声、僕の歌姫

『残り25日。正しく言えばもっと違ってくるが……それを過ぎたらスティーが危なくなる』
「は!? どういう事だよ」


フェネルは説明しました。

突然、女神の歌声を持つと言う噂を聞いたローライト国国王が、

スティーの歌声を聴く為に1ヶ月後にやって来る事が急遽決まりました。

が、現時点でスティーの声は戻っていません。それまでに声を取り戻さないと、

国王を見下したとされて罰せられる可能性があったのです。


「確か見下しただけだと極刑はない筈……」
『だが一生牢屋って可能性があるな。女の場合は国王や王子の妾にされる場合もある』
「くそっ……今の状態より最悪になるじゃないか!」


ラウトは近くの木を叩きました。葉の擦れる音が微かに響きました。