君の声、僕の歌姫

その姿を見つける事が出来ず、ラウトは再び叫びました。


「お前なんだろ? スティーの声を奪ったのは! 今すぐ返しやがれ!」
「その前にお前は誰だい? 礼儀もない小童に教える事など何もない!」


姿は見せなくともその声の迫力に、後ずさりをしそうになるラウト。

しかしそれを堪えながらもラウトは自分の名前を名乗りました。

それを聞いて満足したのか、魔法使いはラウトの目の前に姿を現しました。

それはラウトが想像していた姿とはとても大きく異なっていました。

薄い空色の肩位まである髪。その髪は一括りにまとめられていました。

海のように深い青の瞳。背丈も顔立ちもまるで子供でした。

目の前にいるのが、あの魔法使いなのかとラウトは疑いました。