君の声、僕の歌姫

「もうちょっと我慢って物も出来ないかしら? 完全に諦めた訳じゃないじゃない?
なのに一方的に完全な諦めって決めるのもどうかと思うわよ?」


フェネルはラウトの命を奪う条件を何故、フェアギスが知っているのかと思いましたが、

恐らくはネゲルもそれに気付き、フェアギスに教えたのだろうと納得しました。


「そーんな事も見抜けないで殺しちゃったら、ネゲル様は悲しむわよ?」


何故ネゲルがそこに出てくるんだと感じずにはいられないフェネルでした。

が、フェネルの意思は変わる事もなくラウトの息の根を止める気満々でした。

ラウトの前まで歩みを進め、手を翳すフェネルの前にはフェアギスが立ちはだかりました。


「この子の声を聞いてちょうだいよ!」


邪魔だと言わんばかりのフェネルに、フェアギスは必死になりました。