君の声、僕の歌姫

「何でそこでそいつの名前が出るんだよ?」
『お前、この場所がイフェルの居所に近い事を忘れたのか?』
「いや、そうじゃなくて……イフェルの為に此処までするのかって……」


“するわよ? だって怖いもの”と、背後から声が聞こえます。

振り返ればそこにはフェアギスがいました。

月明かりの所為かその美しさはとても際立っていました。


『お前か……』


知り合いなのかとラウトは聞こうとしましたが、

それを聞く前に疑問に答えるかのようにフェアギスがそれに答えます。


「安心してちょうだいな。貴方の傍にいる魔法使いさんの声ならちゃーんと聞こえているから」