君の声、僕の歌姫

ハルトに“怪我したんだって? 大丈夫かよ?”と言う訳でもなく、

フェアギスに“また助けてくれて有難う”と言う訳でもなく、

ラウトは真先と外へと出て行きました。

外は夕日が沈み空には月が辺りを照らし、星もキラキラと瞬いていました。

それなのに周りに何軒か家は建っているものの、

明かりを灯している家は1軒もありませんでした。


「な、んで……」
『イフェルの影響だろうな』


耳元で囁くかのように、フェネルがポツリと言葉を口にしました。

ラウトはそれに驚きもしませんでしたが、思わずイフェルという言葉に反応しました。