君の声、僕の歌姫

ちゃんと意識もはっきりしてきた所で、ラウトはキルシュから事情を聴きました。

此処がどの場所なのか、どうして死んだと思った筈の自分が此処にいるのかを。


「んーっと、実はね……」


ハルトと共に逃げていた時、運良く魔物には出会わなかったそうです。

が、その途中でハルトが気付かずに石につまづいて転び、膝を大きくすりむいたそうです。

キルシュも転んだ時に放り出されてしまいましたが、

咄嗟に受け身をとったからなのかほぼ無傷で済みました。

ハルトが怪我をして走れません。なので彼を抱えられるのは自分しかいないと、

お面を被りハルトを抱えようとしたその時でした。


「あらあら、女の子におぶってもらうなんて酷い事するわねえ」


背後から女性の声がしました。