君の声、僕の歌姫

『時にラウトよ。戦いながらで良いから聞け』
「何だよ?」


片手で炎の剣を振り回し、片手で火の球の攻撃をするラウトにフェネルは言いました。


『お前、魔法が炎だけだとは思ってはいないか?』


1体目を何とか倒した所で息を切らしながらラウトは驚きました。

その驚きから見てどうやら図星のようでした。

フェネルは恐らく溜息を吐いたのでしょう。その後、呆れながらに言いました。


『想像する物を変えれば、他の魔法も使えるって事だ。分かったか!?』


ラウトは剣を握っていない左手で別の物を思い浮かべ始めました。

それはゴーレムが動けないようにする事が出来る位の、氷でした。