君の声、僕の歌姫

「……多分」
「多分って何!?」


キルシュの驚きを無視してハルトは彼女をお姫様抱っこすると、走り出しました。

ゴーレム達から少し前に離れた場所で、ハルトは珍しく大声でラウトに言いました。


「僕達はこの先に進む。すぐに追い付いて来てくれるって、信じているから!」


ラウトはそれが1番の安全策なんだろうな、と思いながらも目でハルトに合図を送りました。

ハルトは頷きそのまま振り返る事もなく、走り出しました。


『お前は信じられているんだか、いないんだかはっきりしない奴だな……』


ハルトの多分発言を聞いていたからなのか、フェネルは溜息を吐きながら言いました。

ラウトはそんな事も知らずにただひたすらに4体を相手に戦いました。