君の声、僕の歌姫

目を輝かせるキルシュと何も出来ない事に嘆くハルトは、ただこうして眺めているだけでした。

キルシュに至ってはラウトの凄さに自分がやろうとしている事を忘れているようです。

するとキルシュ達が隙だらけなのに気付いてか、ラウトが別のゴーレムと戦っている事を見計らって、

別のゴーレムが2人に襲いかかろうとやって来ました。

それにすぐに気付いたハルトはキルシュを抱えて、数m後ろへジャンプしました。

ほぼ同時にけたたましい轟音が響き渡りました。

恐らくそれにはラウトも気付いた事でしょう。しかし、援護する余裕はありません。

何が起こったのか分からないキルシュは、改めて自分達のいた場所を見ました。

砂煙に遮られながらも、その場所にはゴーレムが攻撃した痕がありました。

地面が陥没していたのです。キルシュはそれに青ざめました。