君の声、僕の歌姫

「まだ30分しか経っていないって事は、ハルトはアウトだな」
「後方支援なら出来るかも。殆どやった事ないけれど」


ハルトの思わぬ言葉に、ラウトは不安を覚えました。


「あたしも……駄目かもしれないけれど、ナイフで援護するから!」


キルシュもラウトを支える気でいました。ラウトは敵に向かって走りながら思いました。


(これって事実上、俺1人での戦闘って事!?)


まだ1人で戦った事のないラウトにとって、それは未知なる体験でした。

ふと振り返ればキルシュとラウトが一応お面を被り、

ラウトに向けて力強く親指をグッと立てていました。

それはまるで“幸運を祈る”と言わんばかりでした。