君の声、僕の歌姫

ラウトは心臓を高鳴らせ、顔を真っ赤にしました。

女性はそんなラウトの様子に気付くようなそぶりも見せず、

怪我の有無だけを確認すると顔をラウトから遠ざけて安心したような声で言いました。


「大丈夫そうね。あんな何人もの男に1人で立ち向かうのは良いけど、
時にはそれが無謀すぎるって事も考えなさいね?」


此処では何時も反論をするラウトですが、今回は素直に分かりましたと言わんばかりに、

首を縦に振りました。女性は“それでよし!”とラウトの頭を撫でました。

先程あった時には気付きませんでしたが、

女性はラウトよりも背が高く170cm後半はあるんじゃないかと言う位でした。


「アタシはフェアギス。また何処かで会ったときはよろしくね?」


ラウトが名乗る間もなく、フェアギスと言う名の女性はその場を去りました。