君の声、僕の歌姫

「お・し・お・きっ!」


女性はまるで凶暴な動物を調教するかのような鞭さばきで、

男達と次々と倒していきました。その姿は残酷と言うよりも、美しい物でした。

ラウトは折角出した魔法を使おうとしても使えず、ただ女性の戦う姿を見ていました。

男達もラウトよりも女性の方ばかりに攻撃を仕掛け始めました。

あっという間に男達は全員伸びていました。ラウトはふとキルシュを何故か思い出していました。

もしキルシュがこの人とタッグを組んだら、この世界の男は全員やられてしまうんだろうと、

ラウトはとても恐ろしい想像をして、鳥肌を立てていました。


「大丈夫?　坊や」


ラウトの視界には、距離が近いからなのかその女性が顔が大きく映っていました。