鷹護さんからの突然の告白とキスに驚いて倒れたのは昨日のお昼休み。
『お前といると言葉よりも先に態度に現れる』
と顔を赤くしながら修行が足りないとも言った鷹護さん。
夢かと思ったけど、夢じゃないと思い知った今日のお昼休み。

「お嬢にこのままずっと仕えたい。オレ、お嬢のことマジなんだ…マジで好きだから、ずっと仕えたい」
恒例になったお昼休みの中庭で、真剣な表情で河野さんにそう言われて、戸惑う私に河野さんが言った言葉。
「弓弦が好き?昨日弓弦に告られたでしょ?」
驚いて顔を上げた私に、困ったように眉尻を下げる河野さん。
「お嬢は本当に判りやすいな…カマかけただけなのに簡単に顔に出ちゃうんだもん」
そう言って笑った河野さんの顔が淋しそうで…でも、何て言えば良いの?
私、鷹護さんのことをどう思ってるの?
告白とキスのショックで頭が上手く回らない私に、鷹護さんが返事を求めなかったからって…
まだ頭が回らないところに河野さんにまで告白されて、また倒れそうだけど考えなきゃ。
「「あの…」」
河野さんと声が重なる。
気まずくなって俯くと、河野さんが言葉を続けた。
「お嬢が誰を好きでも諦めないけどね!」
意思表示のような強い言葉にドキッとすると
「俺も引く気はない。例え相手が河野でもな」
背後からよく通る声が響く。
振り向くと、そこには姿勢を正した鷹護さんの姿が…
私が口を開くよりも早く、鷹護さんが私に向かって言う。
「だからお前はゆっくり考えて決めてくれ。早まるなよ…いいな?」
念押しされてポカンとする私に、河野さんも
「そうそう!てゆうか今日はオレの日なんだから、弓弦も少しは遠慮しろよな?」
と言葉を重ねる。
私…ゆっくり考えて良いの?
「学園内では苗字で呼べと言った筈だ。俺が毎日ここを通ることは河野が一番よく知っているだろう」
「別にどこだろうと弓弦は弓弦だろ!確かに寮からクラスまでの最短コースはここだけどさ、何で真面目にわざわざ寮に戻るかな?」
私の頭上でまた2人の言い争いが始まる。
「2人が仲良しなのはもう分かりましたから、少し静かにしてください!」
思わず大声になった私に、2人の視線が集まる。
「別に…付き合いが長いだけだ」
「そうだよ!仲良しとか違うし…」