恋人は専属執事様Ⅰ

目を開けると視界は真っ白だった。
あれ?私、貧血で倒れて…
「ど…こ…?」
私が漏らした声に反応して、シャッと言う音と共に視界の一部が開けた。
「あ…お嬢様、お気付きになられましたか?」
視界に突然、河野さんの少し困惑した笑顔が飛び込んで来た。
続いてスッと鷹護さんの飄々とした顔が並ぶ。
太陽と月みたいに対照的な表情。
「お嬢様、ご気分は如何でしょう?吐き気や頭痛はございませんか?」
鷹護さんのよく通る声にいつもの棘はない。
私は2人の顔を交互に見ながら
「もう大丈夫です。突然倒れて驚かせてしまって…急に頭を動かすと偶になるの、忘れていました」
もう何ともないと伝えたくて、私は笑顔でそう言った。
それでも2人の様子は変わらない。
上体を起こして本当に大丈夫だと知らせようとすると、口元まであった掛け布団と共に何かが落ちた。
ふと見下ろすとブレザーは脱がされ、ブラウスの裾はスカートから引き出され、第二ボタンまで外れている。
ストンと落ちたのはホックが外されたブラ。
「「「ッ!?」」」
真っ赤になって慌てて胸元を両腕で隠す私。
嬉々として身を乗り出そうとする河野さん。
その河野さんの首に腕を回して、目を瞑って背中を向ける鷹護さん。
「な…何で……」
「ちょっ、鷹護!何すんだよ?見えねーし痛えーし!」
「見ておりません、触れてもおりません」
私たちの騒ぎに気付いた校医の先生が、カーテンから顔を出し
「はい、男子は廊下で待機!声を掛けるまで入って来たら駄目よ?」
と言うと、鷹護さんと河野さんの背中を押してカーテンを閉めた。
「引っ張んなって!」
「早く来い」
言い争う2人の声が廊下に消え、ドアが閉まる音がした。
「先生が見張っていたから大丈夫よ!安心してね?鷹護君にベッドまで運んでもらったけど、その後の処置はカーテンを閉めてやったし、彼らは廊下にいたから。あ、処置ってブレザーを脱がせて、体を締め付けないように少し着衣を緩めただけよ?もう直しても平気そうね。掛け布団を掛けてからカーテンを閉めて、彼らはカーテンの外の椅子に座らせていたし。2人共かなり心配していたから怒っちゃ駄目よ?」
一気に説明すると、先生はウインクをしてカーテンの外に消えた。