私は鷹護さんに手を引かれて、足早に廊下を歩いている。
引き摺られていると言う表現の方が合っているかも…
前を歩く鷹護さんの顔は見えないけど、耳が赤いのはチラッと見えた。
予鈴が鳴った瞬間、鷹護さんはパッと私を引き離すと謝罪の言葉を捲くし立てた。
そして、懐中時計で時間を確認すると、私の腕を掴んで早歩きで校舎に向かい今に至る。
撫子のプレートが見えると、また懐中時計で時間を確認した鷹護さんは
「よし、間に合うな…」
と呟いて歩く速度を落とすと、振り返って私の身だしなみを素早く直してくれた。
あんなに勢い良く歩いたのに、鷹護さんの身なりは全く乱れがなくて息も整っている。
「さぁ、お嬢様。お教室に到着いたしました」
そう言って、鷹護さんはドアを開けてくれた。
「お嬢様、良い午後をお過ごしください。それでは失礼いたします」
そう言って鷹護さんは一礼すると、静かにドアを閉めた。
私はギャップについて行けず、お礼を言い損ねてしまった。
「早速未来の旦那様とお昼休みにデートですの?」
席に着くなり、二階堂さんが耳打ちして来た。
そんなものじゃなかったけどね、色んな意味で…
絶対に誤解されるから、私はお昼休みに散歩して迷子になったところを偶然会った鷹護さんに連れて来てもらったことにした。
殆ど嘘は吐いてないもんね。
「それで、鷹護さんはあなたのことを後生大事に抱き抱えて運んでいらしたの?」
二階堂さんの言葉に心臓が飛び跳ねた。
まさか見られていたの?
目を見開いて固まる私に、二階堂さんがクスッと笑って
「あなたの制服から微かにムスクの香りがしますのよ。フレグランスなんてあなたは着けないですわよね?鷹護さんからの移り香だと考えれば、全ての辻褄が合いましたの」
と名推理を披露してくれた。
お華の先生より私立探偵の方が向いているんじゃない?
私は曖昧に笑って
「ご想像にお任せします」
とだけ言った。
その頃、クラスに戻った鷹護さんはと言うと…
ベストに染み込んだ私のシャンプーの香りについて、執事候補生たちから質問責めに遭っていた。
放課後には学園中の噂になっていて、二階堂さんだけがニヤニヤと私を見ながら笑っていた。
お迎えに来てくれた藤臣さんは、何故かとってもご機嫌斜めだった。
引き摺られていると言う表現の方が合っているかも…
前を歩く鷹護さんの顔は見えないけど、耳が赤いのはチラッと見えた。
予鈴が鳴った瞬間、鷹護さんはパッと私を引き離すと謝罪の言葉を捲くし立てた。
そして、懐中時計で時間を確認すると、私の腕を掴んで早歩きで校舎に向かい今に至る。
撫子のプレートが見えると、また懐中時計で時間を確認した鷹護さんは
「よし、間に合うな…」
と呟いて歩く速度を落とすと、振り返って私の身だしなみを素早く直してくれた。
あんなに勢い良く歩いたのに、鷹護さんの身なりは全く乱れがなくて息も整っている。
「さぁ、お嬢様。お教室に到着いたしました」
そう言って、鷹護さんはドアを開けてくれた。
「お嬢様、良い午後をお過ごしください。それでは失礼いたします」
そう言って鷹護さんは一礼すると、静かにドアを閉めた。
私はギャップについて行けず、お礼を言い損ねてしまった。
「早速未来の旦那様とお昼休みにデートですの?」
席に着くなり、二階堂さんが耳打ちして来た。
そんなものじゃなかったけどね、色んな意味で…
絶対に誤解されるから、私はお昼休みに散歩して迷子になったところを偶然会った鷹護さんに連れて来てもらったことにした。
殆ど嘘は吐いてないもんね。
「それで、鷹護さんはあなたのことを後生大事に抱き抱えて運んでいらしたの?」
二階堂さんの言葉に心臓が飛び跳ねた。
まさか見られていたの?
目を見開いて固まる私に、二階堂さんがクスッと笑って
「あなたの制服から微かにムスクの香りがしますのよ。フレグランスなんてあなたは着けないですわよね?鷹護さんからの移り香だと考えれば、全ての辻褄が合いましたの」
と名推理を披露してくれた。
お華の先生より私立探偵の方が向いているんじゃない?
私は曖昧に笑って
「ご想像にお任せします」
とだけ言った。
その頃、クラスに戻った鷹護さんはと言うと…
ベストに染み込んだ私のシャンプーの香りについて、執事候補生たちから質問責めに遭っていた。
放課後には学園中の噂になっていて、二階堂さんだけがニヤニヤと私を見ながら笑っていた。
お迎えに来てくれた藤臣さんは、何故かとってもご機嫌斜めだった。

