「あら、予想以上に執事候補生が来ましたわね」
私の隣りにいた二階堂さんが、そんなに驚いた様子もなく言った。
「佐伯、あなたもデモンストレーションに参加したいのではなくて?」
二階堂さんはわざと意地悪い口調で、専属契約を交わしている執事候補生の佐伯さんにそう言った。
「とんでもございません!私はお嬢様がお許しくださるのでしたら、生涯お嬢様にお仕えしたいと願っております」
真顔で真剣に応える佐伯さんに、二階堂さんは優雅に微笑み掛けて
「冗談よ。佐伯は揶揄い甲斐があるから、わたくしも気に入っていてよ。海原(かいばら)は詰まらないのですもの」
と言った。
あの…執事さんを面白いかどうかで決めるのはどうかと思うけど?
因みに海原さんとは、二階堂さんのお家の執事さん。
落ち着いた感じだけど、ガッシリした体格でちょっと怖そうだったな…
「お嬢様、セイロンは如何でしょうか?」
我に返ると、1人の執事候補生が私の前に立っていた。
「私、3年の秋元と申します」
そう言って秋元さんは、私の前にカップを置く。
「いただきます」
セイロンなら藤臣さんも淹れてくれるから飲める。
カップを持ち上げて、そう言えば…と思った。
藤臣さんはいつもセイロンはミルクティーだった筈…
一口飲んで、私はつい顔を顰めてしまった。
…苦い~!
「どうなさいましたか?お嬢様…」
慌てる秋元さんに、別の執事候補生が小馬鹿にした口調で言った。
「セイロンは強い苦味があるから、ミルクティーに向いていることも知らないなんて。だから3年にもなって、専属契約が交わせないのでは?秋元『先輩』」
顔を真っ赤にして逃げるように去って行った秋元さんには目もくれず
「お口直しに如何でしょうか、お嬢様。こちらは北欧紅茶のセーデルブレンドと言うフレーバーティーでございます。ストレートでフルーティーな風味を味わっていただくことも出来ます。しかし、あのような蒸らし過ぎたセイロンをストレートでお口にされた後でしたら、ミルクティーをお薦めいたします」
そう言ってカップに紅茶を注ぐ執事候補生は、私がポカンとしていたら
「お嬢様、ストレートとミルクとどちらになさいますか?」
と訊いて来た。
チッて舌打ちしたの、聞こえちゃったんですけど…
私の隣りにいた二階堂さんが、そんなに驚いた様子もなく言った。
「佐伯、あなたもデモンストレーションに参加したいのではなくて?」
二階堂さんはわざと意地悪い口調で、専属契約を交わしている執事候補生の佐伯さんにそう言った。
「とんでもございません!私はお嬢様がお許しくださるのでしたら、生涯お嬢様にお仕えしたいと願っております」
真顔で真剣に応える佐伯さんに、二階堂さんは優雅に微笑み掛けて
「冗談よ。佐伯は揶揄い甲斐があるから、わたくしも気に入っていてよ。海原(かいばら)は詰まらないのですもの」
と言った。
あの…執事さんを面白いかどうかで決めるのはどうかと思うけど?
因みに海原さんとは、二階堂さんのお家の執事さん。
落ち着いた感じだけど、ガッシリした体格でちょっと怖そうだったな…
「お嬢様、セイロンは如何でしょうか?」
我に返ると、1人の執事候補生が私の前に立っていた。
「私、3年の秋元と申します」
そう言って秋元さんは、私の前にカップを置く。
「いただきます」
セイロンなら藤臣さんも淹れてくれるから飲める。
カップを持ち上げて、そう言えば…と思った。
藤臣さんはいつもセイロンはミルクティーだった筈…
一口飲んで、私はつい顔を顰めてしまった。
…苦い~!
「どうなさいましたか?お嬢様…」
慌てる秋元さんに、別の執事候補生が小馬鹿にした口調で言った。
「セイロンは強い苦味があるから、ミルクティーに向いていることも知らないなんて。だから3年にもなって、専属契約が交わせないのでは?秋元『先輩』」
顔を真っ赤にして逃げるように去って行った秋元さんには目もくれず
「お口直しに如何でしょうか、お嬢様。こちらは北欧紅茶のセーデルブレンドと言うフレーバーティーでございます。ストレートでフルーティーな風味を味わっていただくことも出来ます。しかし、あのような蒸らし過ぎたセイロンをストレートでお口にされた後でしたら、ミルクティーをお薦めいたします」
そう言ってカップに紅茶を注ぐ執事候補生は、私がポカンとしていたら
「お嬢様、ストレートとミルクとどちらになさいますか?」
と訊いて来た。
チッて舌打ちしたの、聞こえちゃったんですけど…

