店員さんに席へ案内してもらい、藤臣さんがオーダーしてくれた。
私には勿論ガトーショコラ。
それからやっぱり私が好きなアールグレイ。
藤臣さんはシフォンケーキとセイロン。
ちょっと意外…
コーヒーだけってイメージがあったから、藤臣さんもケーキを頼むとは思わなかった。
直ぐに注文した品が揃った。
「いただきます!」
私はフォークで一口サイズに切ると、ガトーショコラを口へ運んだ。
…美味しい!
滑らかで口の中で溶けてチョコの香りがフワリと広がって、生チョコみたい!
「そのご様子ですとお気に召していただけたようでございますね」
藤臣さんが優しく微笑んで言った。
「はい!藤臣さんも食べてみてください」
私はフォークで一口サイズに切ったガトーショコラを藤臣さんに差し出した。
「淑乃様…それは困ります」
本当に困った顔の藤臣さんに、私はどうしてだろうと思った。
こんなに美味しいのに…
私の考えがお見通しの藤臣さんが、言いにくそうに口を開いた。
「淑乃様のお気持ちはとても嬉しいのですが、その…こういうことは誤解を招きますので、他の方にもなさらないようにお願いいたします」
他のお客さんに聞こえないように小声で藤臣さんに言われて、漸く私はとんでもないことをしたことに気付いた。
所謂『アーン』ってことを、私は藤臣さんにしたのだ。
幾らケーキが美味しいからって、浮かれ過ぎてなんてことを!
「ご…ご免なさい…」
今直ぐ消えてしまいたい!
真っ赤になって俯く私の耳に、藤臣さんの押し殺した笑い声が届いた。
見れば藤臣さんが肩を震わせて、笑いを堪えてる姿があった。
「申し訳ございません…淑乃様が…ガトーショコラをお好きなことを…承知の上でお連れしたの…ですが…まさかこんなに…喜んでいただけるとは…」
笑いを堪えてるせいで声が震えて、それでも込み上げる笑いを我慢して詰まりながら謝られても、全然誠意が伝わらないんですけど…
膨れっ面の私を見て、漸く藤臣さんは笑いが引いたらしい。
まだ肩で息をして目にはうっすらと涙が滲んでいるけど、真顔で
「大変失礼いたしました」
と言ってくれた。
本当だよ!
お店を出て、さっきのアクセサリーショップでイヤリングを受け取って、私は藤臣さんに連れられてお屋敷へ戻った。
私には勿論ガトーショコラ。
それからやっぱり私が好きなアールグレイ。
藤臣さんはシフォンケーキとセイロン。
ちょっと意外…
コーヒーだけってイメージがあったから、藤臣さんもケーキを頼むとは思わなかった。
直ぐに注文した品が揃った。
「いただきます!」
私はフォークで一口サイズに切ると、ガトーショコラを口へ運んだ。
…美味しい!
滑らかで口の中で溶けてチョコの香りがフワリと広がって、生チョコみたい!
「そのご様子ですとお気に召していただけたようでございますね」
藤臣さんが優しく微笑んで言った。
「はい!藤臣さんも食べてみてください」
私はフォークで一口サイズに切ったガトーショコラを藤臣さんに差し出した。
「淑乃様…それは困ります」
本当に困った顔の藤臣さんに、私はどうしてだろうと思った。
こんなに美味しいのに…
私の考えがお見通しの藤臣さんが、言いにくそうに口を開いた。
「淑乃様のお気持ちはとても嬉しいのですが、その…こういうことは誤解を招きますので、他の方にもなさらないようにお願いいたします」
他のお客さんに聞こえないように小声で藤臣さんに言われて、漸く私はとんでもないことをしたことに気付いた。
所謂『アーン』ってことを、私は藤臣さんにしたのだ。
幾らケーキが美味しいからって、浮かれ過ぎてなんてことを!
「ご…ご免なさい…」
今直ぐ消えてしまいたい!
真っ赤になって俯く私の耳に、藤臣さんの押し殺した笑い声が届いた。
見れば藤臣さんが肩を震わせて、笑いを堪えてる姿があった。
「申し訳ございません…淑乃様が…ガトーショコラをお好きなことを…承知の上でお連れしたの…ですが…まさかこんなに…喜んでいただけるとは…」
笑いを堪えてるせいで声が震えて、それでも込み上げる笑いを我慢して詰まりながら謝られても、全然誠意が伝わらないんですけど…
膨れっ面の私を見て、漸く藤臣さんは笑いが引いたらしい。
まだ肩で息をして目にはうっすらと涙が滲んでいるけど、真顔で
「大変失礼いたしました」
と言ってくれた。
本当だよ!
お店を出て、さっきのアクセサリーショップでイヤリングを受け取って、私は藤臣さんに連れられてお屋敷へ戻った。

