だからなんだというのだろう。
こんな話を先生にするつもりはなかった。
あたしはもう、先生になにかを伝えることはしたくない。
消えたいんだ、あたしは。
特に、あなたの中から。
だからもうこれ以上……
「シキ。結婚しないか」
これ以上あたしを……
え?
なに?
あたしはまじまじと先生を見た。
先生は相変わらずまじめな顔をしている。
この人は今度はいったい、なにを言ったの?
「結婚してくれ、シキ」
「いや、ムリでしょ」
あまりにもふざけた言葉だったから、
あたしはつい普通に返してしまった。
まじめな先生の冗談は、
はっきり言ってわかりにくいし笑えない。


