死ぬ時はひとりがよかった。
ひとりなら、ためらいなく死ねる。
けれど、
先生の目の前で、落ちて醜く潰れることは、
とてもじゃないけどできそうになかった。
また、幹生にやられたのかもしれない。
「どうして……ここがわかったの?」
「茅島から鍵をもらって部屋に行ったら、書置きがあった。
だが俺にはおまえの行き先なんて見当がつかなくてな。また茅島に頼ったんだよ」
ものすごく嫌そうに、先生は答えた。
幹生の力を借りるのが、相当嫌みたい。
けど……
幹生は本当に、あたしをよくわかってる。
憎らしいくらいに。
あたしは、じっと先生の目を見つめながら
じりっと後ずさりした。
「先生。帰って」
あたしの言葉に、先生は顔を歪めた。


