先生は怒っているようで、
肩を怒らせこっちに向かってきた。
「そんなところでなにをしてる!?」
先生は勢いのまま、
軽やかにフェンスを飛び越えた。
「来ないで!!」
「うるさい!! 誰がおまえの言うことなんて聞いてやるか!!」
「なんで!? なんでここに……」
混乱するあたしに見えるように、
先生は鍵をかかげた。
それは幹生に渡したはずの、あたしの部屋の鍵だった。
「おまえの部屋に行ったらふざけた置き手紙があった!
さよなら、ありがとうってなんだ!?」
死ぬなんて俺は許さない!
先生はそう叫んだ。
声は響かずすぐ風に飲みこまれたけれど。
あたしの耳には、確かに届いた。


