雪の中歩きながら、
なにをやっているんだろうとむなしくなった。
会場は受験校で。
警備員に受験票のことを話すと、
あとから教員が対応に来た。
それが、
先生だった。
受験票を渡してすぐに帰ろうとしたあたしを、
先生は呼び止めて走っていなくなり。
すぐに戻ってきた彼は、
あたしに温かいココアの缶をくれたんだ。
「寒い中、ご苦労さん」
優しい笑顔で、
あなたはあたしの頭の雪をほろってくれた。
無償の優しさをはじめてもらい。
その出来事は、あたしの大切な思い出となり、
宝物になった。
きれいなままで、とっておきたかった優しい記憶。
それがあったから、
あたしは生きていられたんだよ……先生。


