幹生がバーに出勤してから、 あたしは先生に電話をかけた。 先生は心配げな声であたしの名前を呼んでくれて。 それだけで、もう充分だと思った。 「さよなら」 別れの言葉を告げて通話を切ると。 しつこくまた涙が流れた。 悲しみと少しの幸せが、混ざった色の涙だった。 _______ _____