「オルハは恵まれてるんです。小さい頃もそうだった。双子なのに、あたしより綺麗で、華やかで、孤児なのに品みたいなものがあって。
大人はみんなシキを気に入ってました。賢かったし、見た目も中身も大人びてて、本当にいろんなことに恵まれて……」
浅倉は、双子の片割れに大きなコンプレックスを抱いているようだ。
シキが浅倉に対し抱いているものと、大差ない。
不幸だと、俺は思った。
互いが互いに抱いているものを知らず、
互いが互いに向けているものに気付かず。
いがみ憎み合っているなんて。
「……浅倉」
「……なんですか」
「フィルターを通さないで、シキを……名取織羽を見てみろよ」
2人のこれまでの人生を、俺は見てきたわけではない。
なにも知らないのと変わらない。
だが、
シキが浅倉を裏切ったとは、
俺にはどうしても思えなかった。


