部屋に入るなり、
男はあたしを突きとばした。
テーブルにぶつかり、床に倒れる。
「教師にまで色目使ってるのか淫乱が! 舐めるなよオルハ。この間の男のことはプロに調べさせてるんだ。おまえだけじゃなく、あいつにもたっぷり仕置きしてやる」
「やめて! あいつも先生も関係ない!」
「口ごたえするな!」
髪を引っぱられ、頬を叩かれた。
冷たい床に頭を打ちつける。
その瞬間、過去の傷がフラッシュバックした。
殴られ、蹴られ、打ちすえられ……
縛られて軋んだ全身の関節。
畳ですり切れた肌。
口の中は血の味で満ちて、
おぞましいもので身を裂かれた。
いっそ殺してほしいと願った、地獄の日々。
「おまえは一生俺から逃げられない」
男はあの頃と、同じ言葉を口にした。


