先生は優しすぎる。
はじめて出逢った時もそうだった。
雪が降った、凍えるような寒さの日。
心も体も冷えきっていたあたしに、
あなたは無償の優しさをくれて。
あたしはその優しさに救われた気がしたの。
「先生は、本当にお人よしだね」
「シキ……」
「話したところでどうにかなると思ってる? なにも変わらないよ。
先生には、理解できない」
あたしは理解してほしいわけじゃないんだよ先生。
汚い女だと蔑んで、
忘れられないくらい憎んでくれればいい。
マンションの前まで来た時。
先生があたしの腕を強くつかんだ。
「おまえを理解しようとすることさえ、俺には許されないのか」
ああ、
本当にあなたは……


