どうしてあなたは、
あたしが喜ぶような言葉をいつもくれるんだろう。
それも無意識に。
そんな言葉なんて、ほしくはないのに。
これ以上、痛みなんて感じたくはないのに。
「浅倉とおまえの間になにがあったのかは知らないが。シキ、おまえは浅倉が憎いんだろう。
だから……俺に近づいたんだな」
先生の声は、とても静かで落ち着いていた。
でも、その横顔はどこかさみしげで。
思わず抱きしめてしまいそうになったけれど、
そうする資格はあたしにはなかった。
「わかってるなら……どうしてあたしを拒絶しないの?」
「できるものならとっくにしてる。話せよシキ。
おまえがそこまで浅倉を憎んでる理由を」
どうしてだろう。
どうしてこの人は、あたしを嫌わないのだろう。
あたしはあなたごと、
すべてを壊してしまおうと考えているのに。


