シキのしなやかな体が、俺に甘えるようにしなだれかかる。
柔らかい唇が、左の耳に寄せられる。
「呼んでほしかったら、ここで抱いて」
そんな淫らなことを言いながら、
彼女は細い体を震えさせていた。
なにかに怯えるように、小さくかたかたと。
「シキ……? どうした、寒いのか?」
そういえば、シキはひどく寒がりだった。
ベッドの中でもいつも震えていて、
いつも俺にあたたかいココアをねだって。
「寒くない。いいから抱いてよ……」
「よくないだろ。変だぞおまえ」
「お願いだから先生……」
すがりつかれているような気がしてきて、
俺はいつの間にか彼女を抱きしめ
その背中をなでていた。
シキが泣いているように思えたんだ。
なにがあったのか、話してくれないか。
そうもう1度言おうとした時、
扉が開いた。


