もともと細身ではあったけれど、
ここまでだっただろうか。
「……なんですか先生」
「シ……名取。本当にどうした?」
「どうもしてません」
「体調が悪いんだろう」
「いいえ。平気です」
かたくなな態度にいらだちを感じ、
俺は第2音楽室に彼女を連れこんだ。
シキはたいした抵抗もせず、
ただ少しうつむいて俺を拒否するような動きをする。
「具合が悪いなら言え。なに意地をはってる」
「意地なんてはってません」
「ならその顔色はなんだ。真っ青だろうが」
「ちょっと……寝不足なだけです」
「まだ、眠れてないのか」
朝見た光景が脳裏によみがえる。
「……今朝の男と、寝てるんじゃないのか?」
さみしがりなシキはきっと、
誰かとともにではないと眠れないのだろう。


