あたしなんかと出会わなければ、
きっと先生は平穏無事で過ごせていたのにね。
もしかしたら、浅倉姫衣と特別な関係になれていたかもしれないのにね。
「わからない」
先生はぽつりと答えた。
当たり前だって返されると思っていたのに。
正直なあなたを前にするといつも、
あたしは自分がひどく醜く、汚く、小さな人間に思えた。
その通りなんだけどね。
「先生。あれから……あたし以外の女と寝た?」
先生の体を壁に押しつけて、
あたしはどんどん体を密着させる。
あの頃はこうやって、温もりをわけあったね。
「ねぇ、寝た? 浅倉姫衣とは?」
「やめろ。浅倉は生徒だ」
「でも、お互い好き合っていたでしょう?」
あたしが教えてあげたじゃない。


