「……もう1つは?」
「もう1つは、どうしてこの学校に来たのかだ」
当然の質問。
でも、ごめんね先生。
そのどちらの質問にも、あたしは正直に答えることはできないの。
さっきは「いいよ」って言ったのにね。
とことん嘘つきでごめん。
「先生」
ネクタイから、手をあなたの首へと回す。
背の高いあなたを引き寄せて、あの頃と同じように甘えてみせた。
「先生は、後悔してるの?」
先生は答えず、微動だにしない。
あたしの体を、拒絶もしない。
「なにに後悔してる? あたしを逃がしたこと? あたしと寝たこと?
それとも……」
あたしと出会ったこと?
自分で言って、少し悲しくなったことは秘密だ。


