きみとベッドで【完結】


先生のネクタイに手を伸ばす。



目の前の体がびくりと揺れたけれど、


構わず触れて曲がったそれを直してあげた。



「先生。あたしは浅倉姫衣を知らないなんて、ひとことも言った覚えはないよ」



知らないふりはしたけどね。



先生はあたしの手をぐっとつかんで、見おろしてきた。



「じゃあ最後に2つだけ答えてくれ」


「……いいよ」


「どうして俺のもとからいなくなった?」



いままでの質問の中で、いちばん強い声だった。


ずっと気にしていたんだと、先生の目が訴えている。



複雑な気分になった。


教師としての顔と、男としての顔。


どちらも使ってあたしを責めるあなた。




本当のあなたは、どっちなのだろうか。